「ブレーンダンプ」のススメ
- Dr. Yu Harumi
- 5 days ago
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皆さんの中に「ブレーンダンプ」(Brain dump)という言葉を聞いたことがあるという方はいらっしゃいますか?正直言うとこの言葉、もう何年も使われているようですが私自身、1週間前に初めて知りました。ブレーンダンプとは、読んで字のごとく頭(脳・Brain)の中を駆け巡っている考えやアイデア、疑問、感情などを包み隠すことなく、それこそダンプ(Dump)トラックが廃棄物を荷台から捨てるような感じでメモ帳やノート、紙切れなど書面上で「書きなぐる」ことです。
私がカウンセリングの相談者の方々によく勧める「自分で出来る心のケア」の方法の一つが「日記をつけること」なのですが、この「ブレーンダンプ」も同じような効果があるように思えます。
心の悩みや病気を抱えてカウンセリングを受けに来る人たちの大半は、自分の悶々とした感情・思いを誰にも打ち明けられず心の中にため込んでおくことでモヤモヤとした精神状態から抜け出せないという人たちです。そういった人たちがカウンセリングで、自分の悩みや考えを第三者であり「赤の他人」である誰かに包み隠さず話して打ち明けることで「何となくすっきりする」というのはよくある話です。こういった「カタルシス」的効果というのは「話してみる」だけでなく「書いてみる」ことによってもある程度は得られるものではないでしょうか? また、自分の悶々とした感情、頭の中で交錯している思いなどを文章という形で表現するという作業は、頭の中の整理、そして感情や思考プロセスのコントロールがより簡単にできるようになるという効果もあります。さらに、自分が感情に任せて書きなぐったことをある程度時間が経ってから読み返してみることで「ああ、あの時の自分はこんな風に感じていたんだ」「何でこんな風に考えていたんだろう」といったように、より客観的に自分を見つめるという体験ができるというのも日記がもたらす心理的効果の一つと言えるでしょう。
また「口答えしない」「余計なアドバイスはしない」「秘密を守ってくれる」という点では、臨床心理士やカウンセラーと同じ働きをしてくれるとも言えます。私のオフィスでは、家族や友人といった身近な人たちに悩みや思いを話しても余計なアドバイスをされるか、自分の考えを真っ向から否定されるだけでかえって嫌な気持ちになるからカウンセリングを受けることにした、という相談者の話をよく聞きます。また身近な人にに打ち明けることで、秘密を知られたくない人にまでバラされてしまうことを恐れて結局誰にも言えずにいるというのもよくある話です。そういう点でブレーンダンプというのは、誰かにアドバイスをもらいたい、喝をいれてもらいたいという人には適さないかもしれませんが、ただ自分の誰にも言えない思い・感情を聞いてもらいたい、受け止めてもらいたいと思っている人には、カウンセリングと似たような効果が得られるのではないでしょうか。


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